スマートフォンやSNSの台頭により、マーケティングの方法も様変わりした近年、自社の都合ではなく、ユーザー目線でのマーケティングアプローチが注目されています。その中心になるのが「ペルソナ」という考え方です。
ペルソナは、ターゲットとよく混同されますが、両者にははっきりとした違いがあります。ペルソナとターゲットにはどんな違いがあるのでしょうか?設定方法なども含めて詳しく解説していきます。
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ペルソナとターゲット
ユーザーのニーズが多様化している今、旧来型の企業目線でのマーケティングでは、良い効果が期待できなくなっています。そこで重要になるのがユーザー目線でのアプローチです。ペルソナはユーザー目線でのマーケティングを行うのに必須となる考え方ですが、「ターゲット」という似たような言葉もよく使われているので、どちらも同じだと思っている人もかなりいるようです。
ここではっきりさせておくと、ペルソナとターゲットは異なります。
ペルソナは、マーケティングにおいては「商品やサービスの典型的なユーザー像であり、架空の人物」です。ペルソナには名前や年齢、居住地、職業や年収、家族構成から住居の形、趣味までさまざまな要素が設定されます。
一方のターゲットは、ペルソナよりもアバウトです。「30代の女性」や「首都圏在住の主婦」など、年齢、性別など、マーケティングを行う対象がターゲットです。
ペルソナは、ターゲットの中から抽出された、典型的なユーザー像であり、架空の人物であるといえるでしょう。
なぜマーケティングにペルソナ設定が必要なのか
なぜこれからのマーケティングにはペルソナ設定が必要なのでしょうか?答えは簡単です。マーケティングを進めていくうえで、3つの大きなメリットがあるからです。
①ユーザーのニーズがわかりやすくなる
ペルソナを設定することで、ユーザーのニーズがわかりやすくなります。
あなたが釣り具メーカーに勤めているとして、以下のようなペルソナを設定したとしましょう。
- 名前:山田ひさし
- 年齢:45歳
- 住所:千葉県船橋市
- 職業:設計事務所経営
- 年収:700万円
- 家族:妻、子供1人(3歳)
- 住居:戸建て住宅
- 趣味:船釣り
このペルソナは比較的高収入なので、釣り具を購入する場合、上級モデルを購入する可能性が高いと予想します。海に近い船橋市在住なので、釣り船屋も近く、頻繁に釣りに行くと予想すると、ウェアやライフジャケットのニーズもあるはずです。
このように、ペルソナを設定することで、ユーザーのニーズをはっきりさせられるので、企業側はマーケティング戦略を立案しやすくなります。
②ターゲットにアプローチしやすくなる
ペルソナを設定することでユーザーのニーズがつかめれば、新しい商品やサービスの考案、認知、そして購買行動へと導くためのアプローチがしやすくなります。
特定のペルソナのための戦略であったとしても、このペルソナは「典型的なターゲット像」なので、似たバックグラウンドを持つ多くのターゲットに同じ戦略が使えます。ペルソナを設定してマーケティングを進めることは、ほかの多くのターゲットユーザーに向けた戦略でもあるのです。
③ブレないマーケティングができる
はっきりペルソナを設定すると、マーケティングに関わるスタッフだけではなく、商品やサービスの開発に関わるスタッフも、同じ方向を向いて仕事にあたれます。これがターゲットだけの場合、幅があるのでそれぞれのスタッフの主観が入りこみやすく、戦略にブレが生じます。ペルソナを設定することで、ブレないマーケティングができるようになります。
ペルソナの設定方法
ペルソナを設定することで、マーケティングは進めやすくなります。しかし、ペルソナの設定に誤りがあると、施策は思うように進まないどころか、結果につなげることができません。
ペルソナはどうやって設定すればいいのでしょうか?
すでに持っているデータを分析
すでにユーザーデータを持っている場合は、そのデータを分析してペルソナを設定しましょう。特にリピートしてくれるユーザーに注目して、彼らがどんな属性の人なのか分類してみましょう。たとえば、「40代女性がユーザーの中心」「実店舗ではなくネットモールからの購入」などの傾向が得られた場合は、ペルソナにもその傾向を落とし込んでいきます。
アクセス解析
ホームページやショッピングサイトをすでに運営している場合は、ユーザーデータだけではなく、サイトへのアクセスデータも利用できるはずです。
Googleのツールなどを利用してアクセス解析を行うことでサイトにアクセスしてきた人々の傾向がある程度つかめるはずです(グーグルアナリティクスなど)。地理的なデータは解析ツールからかんたんにわかるので、傾向があるようならペルソナにも落とし込みましょう。
余談ですが、グーグルアナリティクスでは「行動→すべてのページ」を開くと、各記事のページビュー数や平均ページ滞在時間などを知ることができます。とても便利な無料ツールです。ブログやHPで集客を考えている方は、こちらの記事「『行動する読者』を呼ぶブログ集客のコツとは?3つの視点と7つの方法」を参考にしながら、グーグルアナリティクスでリライトしてみてください。結果として、人が集まるメディアになるはずです。
アンケート
まだビジネスを始めておらず、そもそもデータがない場合は、アンケートやインタビューなどにより自力でデータを集めましょう。
実際に街角に出て、想定しているターゲットに近い人を狙って調査を行うのが一番です。アンケート調査では、ユーザーのニーズをより詳しくつかめるほか、ヒアリング調査も行えば、ユーザーの人となりを、今後の目標や趣味のことなどを含めて知ることができます。聞き取った情報は、ペルソナ設定の際に活用しましょう。
ペルソナを設定するときに注意すべきこと
すでに触れたとおり、誤ったペルソナを設定するとマーケティングを成功へと導くことはできません。正しくペルソナを設定するためには、データの分析やアンケートをとることが重要であることも説明のとおりです。しかし、ペルソナを設定するにあたり、まだ注意すべきことがあります。
勝手な思い込みを入れない
ペルソナを設定するにあたり、思い込みや自分の考えを入れてはいけません。裏付けのない情報を入れてしまうと、マーケティングの施策も影響を受けてしまいます。誤ったペルソナになりかねないので、自分の勝手な思い込みをペルソナに反映させないでください。
視覚的にイメージできるようにする
マーケティングに関わるすべてのスタッフが、まったく同じペルソナのイメージを共有しなければなりません。そのためには、名前や年齢、居住地、年収などの情報だけではなく、わかりやすい写真やイラストを用意すると、容易にイメージを共有することができます。
調整や見直しを行う
一度、ペルソナを設定したら、あとはそのまま…これではいけません。定期的にペルソナの調整・見直しを行いましょう。時代の移り変わりや社会情勢の変化はペルソナにも影響します。ペルソナを設定してから1年経てば、ペルソナも1つ歳をとります。
売上のデータから、典型的なユーザー像が少し変化することもあるので、一定の時間が経過したらペルソナの調整・見直しを行うことはとても大切です。
最後に|戦略立案が立てやすくなる
ペルソナについて、ターゲットとの違いや設定方法、設定時の注意点などをまとめて紹介しました。正しくペルソナを設定すると、マーケティングの戦略立案やターゲットへのアプローチがやりやすくなります。マーケティングの効果を見ながら、適宜、ペルソナの調整・見直しによる軌道修正ができれば、より効果的なマーケティングが行えるでしょう。
追伸
マーケティング初心者の方は、こちらの記事「ランチェスターの法則とは?軍事戦略をベースにしたマーケティング戦略」も参考にしてみてください。この記事は、”弱者の戦略”になります。
もう少し深くマーケティングのことを知りたい方は、こちらの記事「確実に男性ファンを集客する『ターゲットマーケティング』」を読み込んでみてください。この記事は、男性にぶっ刺さる内容になっています。