ペルソナは、マーケティングの世界で使われている、商品やサービスのターゲット顧客個人の人物像です。ペルソナ設定を行うことにより、企業視点で商品やサービスを作り出し、流通させるだけではなく、顧客の動きを考えてビジネスをすることが可能になります。
この記事では、ペルソナ設定の方法や、ペルソナをマーケティングのフレームワークに役立てる方法を解説しています。ぜひ読んでみてください。
Contents
ペルソナの基礎知識
マーケティングの現場からは、よく「ターゲット」や「ターゲットユーザー」「ターゲット顧客」などの言葉が聞こえてきます。これら「ターゲット」とペルソナは何が異なるのでしょうか?
ターゲットは、かんたんに言えば「グループ」です。商品やサービスを気に入ってくれるであろう性別や年齢層などで決まるグループです。ペルソナは、グループに含まれる個人を、詳細なところまでイメージ化したものだと考えるといいでしょう。
ペルソナ設定の目的
ペルソナやターゲットについてはおわかりいただけたと思います。しかし、なぜそんなに細かいところまでユーザーの人物像を設定しなければならないのでしょうか?
たしかにターゲットがわかっていればマーケティング戦略を立てることは可能です。しかし、ターゲットだけだと、顧客目線で考えにくいのです。
ペルソナ設定で顧客目線のフレームワークを実現
これまでのマーケティング戦略や詳細な施策の立案に使われていたフレームワークは、STP分析などの、企業目線のものが主体でした。しかし、現在は顧客がどんな悩みを持ち、その悩みに対してどんな解決策を提示すればよいのか考える、顧客目線のフレームワークが求められています。ペルソナ設定の目的は、まさにこの顧客目線のフレームワークでマーケティングを進めていくことなのです。
ペルソナを設定することで、ユーザーの生活におけるさまざまな場面を想定した商品やサービスの設計が可能になります。
担当者間で共通認識を持つことに役立つ
ペルソナ設定により、開発、マーケティングなど、その製品やサービスに関わる人たちが、共通認識を持って働けるようになります。ターゲット設定だけだと、そのターゲットの中には9時5時で働く会社員もいれば、専業主夫や夕方から深夜までアルバイトをする会社員もいます。
このように、ターゲット設定だけだと、使えるお金も時間も異なる人たちが同じグループに入ってしまうため、担当者間で認識を統一しにくいのです。ペルソナの設定は、同時に「私ならこうする」などの主観が入ることを防いでくれます。
ペルソナ設定の進め方
ただ考えていても、ビジネスを進めていくために有効なペルソナを設定することは不可能です。ここからはペルソナ設定の進め方を解説します。
ペルソナ設定のためのデータ収集
ペルソナを設定するためにデータを収集します。これまでのビジネスのプロセスで集められた顧客の声、顧客データなどがあれば、ペルソナを設定しやすくなります。社内のデータだけではなく、国や自治体などが発表しているデータも参考にするといいです。競合他社のサイト内にも顧客の声などのデータが公開されているので、使えそうなデータがあるかどうかも探してみましょう。
また、街角に立ってアンケートやインタビューを行ってデータを集めることも大切です。大まかなターゲットは決まっているはずなので、実際に街角でターゲットとコミュニケーションをとることで、商品やサービスの開発に必要なデータを集めます。話を聞くことで、ターゲットが商材にかけられる金額、商材への欲求などが見えてくるはずです。SNSでデータを集める方法もありますが、想定するターゲットを集めにくいことが多いので注意が必要です。
データを基にペルソナ設定
ペルソナを設定する際は、
- 「名前」
- 「年齢」
- 「住所」
- 「職業」
- 「年収」
- 「家族構成」
- 「商材に関係する意見」
など、収集したデータを書きだしてみます。収集したデータとは別に、ペルソナの名前や顔写真、しゃべりそうなこと、などを考えておくと、担当者間で共有しやすいペルソナができあがります。
収集したデータを分析する際は、セグメントに分けましょう。セグメントは、たとえば、「ユーザーの流行への感度」「ユーザーのレベル」「ユーザーの目的」などで分けます。このようにセグメント分けすることで、自社の商品やサービスを求めているであろう、そしてそれらが響くであろうペルソナのイメージが固まってきます。
ペルソナに設定すべき項目は以下のとおりです。
- 名前や年齢
- 性別、住んでいるエリア、
- 誕生日、学歴などの基本情報
- 働いている業界、職種
- 役職、年収など仕事のこと
- 趣味インターネットの利用について(スマホ、所有する機器、利用状況、利用しているサイトやSNSなど)
ペルソナを設定する際は、収集したデータをしっかり分析して、典型的なユーザーを割り出し、具体像として描きましょう。もしかしたら、想定していたターゲットとは若干異なるペルソナになる可能性もありますが、その場合はさらにデータを集めたり、ターゲット設定からやり直したりして、ペルソナ設定をしましょう。
ちなみに、SNSにおけるペルソナ設定はこちらの記事にまとめています。
ペルソナ設定で注意すべきこと
ペルソナを設定する際に注意すべきことを紹介しておきます。
既存顧客に寄せすぎない
ペルソナは、すでにある顧客データも利用して設定しますが、その際、既存の顧客のことだけを考えてペルソナを設定してしまうと、新規顧客が何を望んでいるのか見えにくくなってしまいます。ペルソナは既存顧客に寄せすぎないようにしましょう。
ペルソナは設定後も適宜調整
マーケット環境の移り変わりのスピードは速いので、ペルソナは設定後も適宜調整することが重要です。
ペルソナをフレームワークに役立てる
ペルソナは、自社商品やサービスのマーケティングを顧客の視点で考え、進めていくことに効果を発揮します。また、ウェブサイトのコンテンツを作る際も、ペルソナを活用することで、ターゲットユーザーの集客効率化に役立ちます。
たとえば、キーワードを設定する際は、ペルソナのライフスタイルを考慮して、その中からどんなニーズがあるのかを考えます。ペルソナの生活におけるさまざまな場面でニーズは異なるので、各々のニーズをキーワードという形にします。この段階では、キーワードツールなどを使って検索ボリュームも調べる必要があるでしょう。キーワードが決まれば、あとはそのキーワードを使ってコンテンツを作るだけです。
最後に
ペルソナやペルソナ設定についてお話ししてきました。ペルソナ設定は、顧客視点で考えてビジネスを進めていくためにとても重要です。マーケティング戦略や施策の立案に、ぜひペルソナを役立ててください。