「会社に場所や時間を縛られず、自由に働けるフリーランスに憧れる」
そう思って、フリーランスを目指す人が増えています。それどころか、見切り発車でフリーランスデビューした人もSNSには大勢います。
しかし、まずは厳しい現実を知ってください。
営業力のないフリーランスは即退場に追いやられます。おすすめされた本や教材を購入し、初歩的なスキルを身に付けただけで「えいっ」と独立しても、仕事が見つからず路頭に迷うのです。
一方、資格や実績がないまま独立し、何だかんだ右肩上がりで軌道に乗るフリーランスがいることも事実。両者の違いは“営業力”の有無です。
別に訪問営業やテレアポのスキルが要るわけではありません。ちょっとした仕事獲得のコツを知っているだけで、生き残るフリーランスに近付けるのです。
Contents
フリーランスが知っておくべき2つの営業力
私は営業力を2つに分解して捉えています。
1.自分から動く営業
2.見つけてもらう営業
自分から動く営業は、顧客になり得る人に「私はこんな風にお役に立てます」と直接アピールし、こちらから取引を持ちかける能動的な行為を指します。おそらく、多くの人が「営業」と聞いて想像する活動はこちらです。
一方、見つけてもらう営業は、不特定多数に伝わる形で「私はこんなスキルを持つ人材です」と情報を発信し、相手から取引を持ちかけてもらう受動的な行為を指します。
自身のブログやSNSへ投稿をアップロードし、その投稿を見た人から問い合わせが来る……という流れの仕事獲得は、見つけてもらう営業に該当します。
フリーランスとして生き残るためには、これら2種類の営業力を身に付ける必要があります。
営業マン直伝!営業は3つの導線を意識すべし
「〇〇にお困りですよね? 私のサービスで解決できます」
上記の売り込み方で営業が成功すると思っている方は、思考を切り替えてください。次の3つの導線を意識してから、営業を進めてみてほしいのです。
1.問題:問題を聞き出す
2.原因:問題の原因を伝える
3.解決:問題の解決策を提案する
セールスライターである筆者を例に解説します。
まずは、よくある「②原因が欠けた営業の流れ」をご覧ください。以下の流れでメッセージを送り営業をかけても、ほとんどの場合は相手にしてもらえません。
- 問題:LPの成約率が低いことにお悩みではありませんか?
- 解決:セールスライターである私に任せていただければ解決できます。
※LP(ランディングページ)とは……顧客に行動を起こしてもらうページ
②原因を飛ばし、①問題→③解決の流れになっているため、相手に納得感が生まれる前に売り込む形となっています。何をどう解決できるのか、解決策の中身が全く見えないまま話を進めているところも減点箇所です。
それでは、次に①問題→②原因→③解決の順番を意識して流れを作ってみます。少し長いのですが、②原因に注目して「読んだときに受ける印象の違い」を感じてみてください。
- 問題:LPの成約率が低いことにお悩みではありませんか?
- 原因:実は、多くのLPは商品に焦点を当てて“購入後にどう豊かになるか”を言及していません。例えば「この飲料は乳酸菌が1000億個入っています」という訴求では、購買意欲をそそられませんよね。しかし「1000憶個の乳酸菌がストレス緩和と深い眠りをもたらします」と焦点を変えれば、印象が違って聞こえませんか?
- 解決:もしも既存のLPが「いまいち消費者の心に刺さっていない」とお考えなら、ぜひセールスライターの私に改善をお任せください。
②原因を飛ばした先ほどの例文よりも、より納得感が生まれたと感じませんか?
フリーランスが安定的に仕事を獲得するためには、上記の①~③の導線を意識した見込み客へのアプローチが不可欠です。「自分から動く営業」にも「見つけてもらう営業」にも共通する部分であるため、②原因を省いた提案をしていないか注意して営業活動を行いましょう。
営業力のあるフリーランスになる5つの考え方
営業活動に充てる時間を増やし、仕事獲得のために試行錯誤する回数を増やすほど、営業力を鍛えられます。しかし、コアとなる考え方が間違っていると、営業力が身につくまでにかなりの時間を要します。
もし最短ルートを進むなら、今からお伝えする原則を頭に染み込ませてから営業に臨んでください。手探りで営業活動に励むよりも、成果が出るまでの時間をグッと省略できます。
プロフィールは「自分の魅力」を相手目線で伝える
営業力の高い人は、総じてプロフィールの書き方が上手です。
あなたも、あらかじめ100点満点のプロフィールを用意しておけば、仕事獲得のチャンスが目の前に突然やってきて「あなたはどんな人材なの?」と不意に質問されても完璧に回答できます。
出来の良いプロフィールをブログやSNSに掲載しておけば、あなたがわざわざ自分を売り込まなくても、目を通した見込み顧客から「ぜひ依頼相談をしたいのですが……」と連絡が届きます。そんなプロフィールを作るために押さえるべきポイントは、以下の3つです。
- 具体的に「どう役に立てるか」を述べる
- 自分が相手に貢献できる根拠を盛り込む
- プロであると自覚し、予防線を張らない
プロフィールに経歴や保有資格を並べるだけでは、相手に採用のメリットを感じてもらえません。
提供できる価値に焦点を当てて「経歴や資格を活かしてこんな仕事ができます」と述べることで、初めて魅力的なプロフィールになります。その際、過去に挙げた成果(小さい成果でも十分)をセットで伝えれば、主張に信ぴょう性が加わるでしょう。
また、活動を始めたばかりのフリーランスだからといって「私は初心者です」と予防線を張る行為はやめるべきです。
お金を支払って依頼する側は、プロの自覚があるフリーランスへ仕事を任せたいと思っています。依頼者は自称初心者ではなく“予算内で対応してくれるプロ”を探しているため、プロとしての自覚をもってプロフィールを書いてください。
見込み客と出会うための窓口を増やそう
今この時代において「企業に電話営業や飛び込み営業をしたい」と思うフリーランスは少数派です。労力がかかる割に受注確度は高くありませんし、そもそも電話営業や対面営業に苦手意識を持っている人がほとんどです。
そのため、必然的に仕事獲得の主戦場はインターネットになるのですが、ネット上に用意する窓口が少ないフリーランスが多すぎます。
極論、あなたがどれだけ優秀な人材だったとしても、あなたの問い合わせ窓口がTwitterしかないなら、Twitterを使わない人とは一生取引できません。取引のチャンスはどこに転がっているか分かりませんから、ネット上にまんべんなく窓口を作っておく意識が重要なのです。
いくつかの窓口を作るなかでTwitterとブログに手応えを感じたため、私はこの2つに注力していますが、仮にまっさらな状態からフリーランスとして再スタートを切るなら、ひとまず以下の全部に手を広げて手応えのある場所を探ります。
1.各種SNS(特にTwitter・Instagram)
2.ブログ
3.note
4.クラウドソーシング
5.フリーランスエージェント
SNS・ブログ・noteを利用して「何ができる人材なのか」が伝わる投稿を公開し、クラウドソーシング・フリーランスエージェントに登録して“自分が貢献できそうな取引先”を探すことで、徐々に「自分の見込み客はこの領域によくいる」というデータを集めていくのです。
新規開拓だけでなく、リピートと紹介を意識しよう
「いつまでも新規開拓に追われて営業活動で消耗してしまう」というフリーランスの多くは、リピート率と紹介率アップのための働きかけが足りていません。
一度お仕事をしたクライアントへ、定期的に「お困りごとはありませんか?」と連絡して自分の存在を思い出してもらったり、率直に「周囲に〇〇にお悩みの方がいれば力になれます」と紹介をお願いしたり、すでにある人脈を広げる工夫も営業力の1つです。
フリーランス仲間に聞いたところ「当初は新規開拓に時間を使ったが、今はリピートと紹介案件が9割」と回答をもらいました。新しい出会いばかり求めるのではなく、既存の取引先と関係を続ける工夫をした方が、より安定して仕事獲得ができるという見解で一致しました。
フリーランスとしての実績・成果物をまとめておこう
選択肢をいくつか用意しました。あなた自身が依頼側だと想像したとき、どちらの方が「この人ならお金を払っても良い」と思えそうですか?
- 「こんな記事を書きました」と見せるライター
- 「見せられる記事はありません」と言うライター
もう1パターン、選択肢を用意しました。
- 「これは私が描いた絵です」と見せるイラストレーター
- 「絵は見せられないのですが、任せてください」と言うイラストレーター
「見せられた記事・絵のクオリティが良ければ」という前提はありますが、成果物を見せてくれる人の方が安心して依頼できることは容易に想像できるはずです。
営業力のあるフリーランスは、成果物を見せない人が“成果物を見せる人”に勝てないことを理解しているため、自己アピールを有利に進めるためにあらかじめ実績や成果物をまとめています。
そのような、自分の力量を相手に伝えるための資料をポートフォリオと言います。
まだポートフォリオを用意できていないなら、今から作成してください。そして、あなたの実績が増えるたびにポートフォリオの内容を最新情報に更新し、常に「資料を1つ共有すれば自分の力量が伝わる」ような状態にできればベストです。
受注・失注の理由を研究する
営業は場数を踏むことが重要なのですが、ただ単に場数を増やすだけでは営業力が伸び悩みます。営業活動は実践だけでなく、反省と再計画をセットにしてください。
何も難しいことではありません。ここで言う反省とは、次の2つを指します。
- 受注時に「なぜ受注できたのか」を分析する
- 失注時に「なぜ失注したのか」を分析する
受注できたときの状況と、失注したときの状況を比較すると、必ずどこかに差が見つかります。失注の数%はタイミングや運に左右された結果かもしれませんが、分析対象とするデータを増やせば「ここがキーポイントかも」と思える営業の勘所を発見できるはずです。
最後に|現場で鍛えたセールスの手引き書
最後まで読んでくださった方にだけ本音を漏らしますが、歴1~2年の新米フリーランスに「あの人は営業力がすごい」と唸るほどの人材はほぼいません。
営業が上手い方もほんの一握りはいますが、全体を見ると「多少のスキルがあれば契約してもらえるだろう」という甘い考えの持ち主が多すぎるのです。実際には、いち早く営業力の重要性に気付いて、自分の売り方を研究できる人以外は生き残れない世界です。
厳しい世界であると実感しているからこそ、本記事には「うちの読者さんには生き残れる営業方法を伝えたい」と思い、重要なポイントを詰め込みました。一緒に生き残れるフリーランスを、1人でも増やすことができれば本望です。
――圧倒的に仕事獲得を有利にしたい方へお知らせ
本業では60ヶ月連続売上グループNo1の住宅営業マン、副業でもセールスブランディングのプロとして活動する私の知見を集約し、コンサルティング形式で営業理論を学べるコンテンツを配信しております。
実は、その営業理論の一部をこちらの記事で紹介していました。
あなたが「ここで説明された以上の営業ノウハウを知り、圧倒的に仕事獲得を有利にしたい」とお考えになる場合には、以下の1冊をご活用ください。