導入文の時点で「この記事、何か違う気がする」と感じさせてしまうと、その時点で読者の“真剣に読むモード”が解けます。戻るボタンを押してブラウザバックする可能性もあるでしょう。
真剣に本文を読んでもらうために、特別な技術は要りません。たった3つのコツを意識し、導入文の書き方を変えれば導入部分での離脱率を改善できます。
見向きされない記事の執筆を卒業するために、本記事のノウハウをご活用ください。読了後、あなたから「導入文は雰囲気で書くものだ」という考えは消え去っています。
Contents
導入文とは?その役割を理解しよう
導入文は“本題の興味付け”の役割を担う文章です。この記事であれば「導入文の時点で」から始まる3つの段落が導入文にあたります。
導入文は記事を開いて最初に表示される文章であるため、目に留まりやすい部分です。だからこそ導入文を重要視する意見は多いのですが、たまに見かける「導入文は必ず読まれるから、導入文にこそ力を入れるべき」という主張は盲信しないでください。
- サッと導入文を確認してから本文を読む読者
- いきなり急スクロールして流し読みする読者
- まず著者の経歴や実績から確認する読者
実際には、いろいろな読者がいます。
だからこそ、渾身の導入文を書いて「これで反応の取れる記事が出来た」と勘違いしてはならないのです。引きのある見出しを考えたり、信頼感を高めるために筆者の経歴や実績を開示したり、多数ある“注力すべき箇所”のたった1つに過ぎません。
導入文の書き方を習得することは、読者に評価される記事作りの1ピースだとご理解いただいた上でお進みください。
読者を逃さない導入文の書き方【3つのポイント】
10記事読めば、10通りの導入文があります。ただ、引きの強い導入文を比較してみると、ある共通点が浮かびます。
- 読者が抱える悩みを浮き彫りにしている
- 「この記事で解決できる」を示している
- 読後の未来を読者にイメージさせている
導入文の書き方には数多くの流派があるものの、どの意見も突き詰めると言っていることは上記の3つに集約されます。
読者が抱える悩みを浮き彫りにしている
読者が抱える悩みを導入文で言い当てると、掴みとしては及第点です。このとき深く掘り下げた悩みを言い当てるほど、引きのある導入文が作れます。
以下に掲載した、刺さる文章の書き方を知りたい方へ向けて書いた「【1秒で刺さる書き方】あなたの文章が劇的に生まれ変わる」の導入文をご覧ください。
ここでは「刺さる文章が書けないと悩んでいませんか?」と無難に悩みを当てるのではなく、悩みを一段具体化して投げかけることで「あっ、これは私のことだ」と読者に思わせる言い回しに変えました。
次のように変換し、よりピンポイントに悩みを言い当てるイメージで書いたのです。
・刺さる文章が書けずに悩んでいませんか?
↓
・ブログで成果が出ずに悩んでいませんか?
・SNSで反応を得られずに悩んでいませんか?
・自らの文章で商品を売れる自信がないのでは?
導入文の書き方を紹介する他サイトの記事では、よく「インパクトを与える言葉を使う」や「読者に共感を与える」が重要だと解説されますが、バチっと悩みを言い当てればインパクトと共感を同時に与えられます。
「この記事で解決できる」と示している
読者の悩みを言い当てるだけでは、目を皿にして記事を読んでもらえません。その悩みをこの記事で解決してみせると宣言して、初めて読者は「この記事を読まなければならない」と強い動機を見いだすのです。
悩みが解決可能であると告げるとき、なぜそう宣言できるのか理由や根拠を添えるとより効果的です。例えば、副業にチャレンジする営業マンへ向けて書いた「7日間の売上830万円|営業マンが副業に「売る力」を活かした結果」の導入文では、読者の力になれる根拠を以下のように述べました。
何も持たないところから副業を始めて、実際に結果を出している自分だからこそ、この話を語る資格があるのだと読者に伝えたのです。
誰しも、副業未経験の人が語る「副業のコツ」を聞きたいとは思いませんよね。理由は単純で「副業経験ゼロの人に、副業をしたい人の悩みを解決する力があるはずない」と脳みそが瞬時に判断するからです。
だからこそ、読者の悩みを解決可能であると宣言し、できればその根拠をセットで述べるように意識してください。
読後の未来を読者にイメージさせている
読者の悩みを言い当てて、それが解決可能であることを伝えれば導入文はほぼ完成ですが、もう一段高いレベルの導入文を目指すなら“読後の未来”を盛り込んでください。
仮に本記事の冒頭に「この記事を読めば導入文が上達します」と書いても読者の心は動きません。しかし、以下のように書けばどうでしょうか。
「この記事を読んで導入文を改善すれば、読者のブラウザバック率は下がり、本文内で紹介する広告のクリック数が増えます。結果として、PV数に対する収益性アップが期待できます。また、Googleアナリティクスの分析画面を見たときには、滞在時間や回遊率の改善具合に驚くでしょう」
随分と印象は変わったはずです。ただし、上記の導入文は「自分のブログを育てよう」と考えるブログ運営者には刺さる一方で、ゴーストライターとして記事制作をするWebライターには刺さりません。
広告がどれくらいクリックされたか教えてもらえませんし、寄稿先メディアの分析画面を見せてもらう機会もないため、Webライターにとっては「寄稿先の満足度を高める」が導入文を学ぶ動機なのです。
ですから、本記事のメイン読者をWebライターだと想定するなら、私は導入文を次のように書き換えます。
「この記事で紹介する導入文の書き方を覚えれば、寄稿先の担当者に『いつも似たような導入文ですね』と不満を言われる機会は一切なくなります。臨機応変に導入文を書き分けられるWebライターとして一目置かれる存在になれるでしょう」
先ほどの例文とは打って変わって、ブログ運営者には刺さらない導入文となりますが、Webライターの心を掴んで離さない導入文に仕上がりました。
導入文を考えるときには、まず「この記事のメイン読者は誰なのか」を設定し、その読者が“読まざるを得ない”ように文章を練ってみてください。たった1つ、この工程を加えるだけで導入文のクオリティは確実に上がります。
応用的な導入文の書き方を紹介
基礎的な導入文の書き方を押さえた上で、より読者を引き留める文章を作るためのスパイスを紹介します。「導入文にもう少し捻りが欲しい」と感じたときにお使いください。
質問を投げかけて引き込む
大抵、人は説明を「聞き流す」のですが、質問に対しては「回答を考える」という反応を見せます。
講義を想像してください。登壇者が淡々と説明口調で話しているとき、参加者の多くはテレビやYouTubeを鑑賞するかのように、その様子をボーっと眺めています。
その際、登壇者が参加者の1人を指差して質問を投げかければ、会場にどのような反応が起こるでしょうか。指名された参加者の緊張感は高まり、緊張が伝播して別の参加者たちも“当事者”としてセッションに引き込まれるのです。
質問が持つ、引き込む力は導入文にも応用できます。以下は「「思い出される人」になる!ブログを使ったセルフブランディングを解説」の導入文の一部です。
上記の導入文を読み始めた読者は、反射的に「自分の名前で勝負したいか否か」を考えてしまいます。なお、記事へ引き込むフックとして質問を使うときに重要なのは、短時間で答えを導き出せる質問を選ぶことです。
これを無視して「123の三乗はいくつでしょう?」などと回答に時間のかかる質問をすれば、読者は面倒に感じて読み飛ばしたり、記事を去ったりする可能性が上がります。
記事を読み進めないリスクを語る
読後の未来を見せる方法の応用として、あえて“読了しないリスク”を語る方法もあります。
ご存知かもしれませんが、人間は「得る」より「失う」ことに注意を向ける生き物です。詳しく知りたい方は、プロスペクト理論や損失回避の法則といった言葉を調べてみてください。
ともかく、読者は「行動すれば得をする」よりも「行動しなければ損をする」と述べた方が、行動を起こしやすいのです。繰り返し損失をアピールすると胡散臭い印象を与えますが、ここぞというタイミングでは、人間の損失回避性を意識した文章を盛り込むと良いでしょう。
例えば「【マーケティング初心者必見】ベネフィットとメリットの違いを徹底解説」の導入文にある「意味を履き違えると恥ずかしい思いをする」も損失の一種です。
リスクを大げさに語るのではなく、ちょうどスルーできない程度の損失を挙げてみてください。
理想的な導入文の文字数は?
理想的な導入文の文字数に関しては、さまざまな意見があります。
私個人の意見としては、今回ご紹介した3つのポイントを押さえつつ、極力コンパクトに収めた導入文が理想だと考えています。
「3つのポイントを押さえる」と「極力コンパクトに収める」を意識して生み出された導入文なら、100字でも500字でも問題ない……という考えです。 記事テーマやメイン読者が変われば、導入文に盛り込むべき情報量は変わるものですから、それを無理やり決まった文字数に収める必要はありません。
最後に|導入文の書き方のゴールは「型破り」
今回は3つのポイントを紹介し、ある程度“型”に当てはめた導入文の書き方を紹介しましたが、次第に型を崩してこなれた導入文も書けるようになってきます。実際、当ブログの記事をいくつか読んでいただけると分かる通り、創造性を重視した自由な導入文も多々混ざっています。
手応えのある導入文を書けるまでは、本記事の内容を意識して構成を考えていただければと思いますが、将来的には型にとらわれない「あなたならではの読者に響く導入文」を追求してみてください。